危険物取扱者 乙種第4類(乙4)とは?扱える危険物・できること・難易度を整理

この記事について: 運営者は警備員として働いており、自衛消防技術試験に合格した経験はありますが、危険物取扱者の乙4は受験・取得していません。この記事は、消防試験研究センターや消防庁、法令などの一次情報を調べて整理したものです。体験談ではありません。

防災センターやビルの設備まわりで働いていると、「乙4」という言葉を耳にすることがあります。正式には危険物取扱者 乙種第4類。ガソリンや灯油などの「引火性液体」を扱うための国家資格です。

この記事では、乙4で何ができるのか、甲種・丙種とどう違うのか、どのくらい難しいのかを、公的な資料をもとに整理します。

目次

乙4をひとことで言うと

乙4は、消防法に基づく危険物取扱者の免状のうち、第4類(引火性液体)を扱える乙種の免状です。ポイントは次の3つです。

  • 扱えるのは、ガソリン・灯油・軽油・重油・アルコールなどの第4類の危険物
  • 受験資格はなく、乙種は誰でも受験できる(消防試験研究センター)
  • 試験は筆記35問・五肢択一のマークシート方式(実技試験はなし)

第4類の危険物とは

消防法の別表第一では、危険物が第1類から第6類に分けられています。第4類は「引火性液体」で、品名は次の7つです。

品名代表的な物品の例
特殊引火物ジエチルエーテル、二硫化炭素など
第一石油類ガソリン、アセトンなど
アルコール類メタノール、エタノールなど
第二石油類灯油、軽油など
第三石油類重油など
第四石油類ギヤー油、シリンダー油など
動植物油類動物の脂肪や植物の種子から得た油など

身近なガソリンスタンドの燃料はもちろん、工場や建物の設備で使われる油類も、第4類に含まれるものが多くあります。物品ごとの区分や数量の基準は、消防法・同施行令(別表)で確認してください。

危険物取扱者の種類と、乙種でできること

消防試験研究センターの案内では、危険物取扱者の免状は甲種・乙種・丙種に分かれています。

区分取り扱える範囲
甲種全類の危険物
乙種免状に記載された類の危険物(第1類〜第6類)
丙種ガソリン・灯油・軽油・重油など、特定の危険物に限る

乙種・甲種の危険物取扱者は、危険物の取扱いと定期点検ができ、さらに保安の監督もできるとされています。また、免状を持たない人でも、甲種または乙種の危険物取扱者が立ち会えば、危険物の取扱いや定期点検を行えます(消防法第13条第3項)。

このため、危険物を扱う施設では、有資格者が現場にいること自体が、ほかの従業員が作業するための条件になっています。

保安監督者になるには

一定の危険物施設では、危険物保安監督者を選任して保安の監督をさせなければなりません。消防法第13条では、その資格を「甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者で、六月以上危険物取扱いの実務経験を有するもの」と定めています。

つまり、乙4の免状だけでは保安監督者にはなれず、実務経験(6か月以上)も必要です。乙種の場合、保安監督者として監督できるのは、免状に記載された類の危険物を扱う施設です。

免状を取ったあとのルール

危険物取扱作業に従事する人には、保安講習の受講義務があります(消防法第13条の23)。消防庁の資料では、次のように整理されています。

  • 取扱作業に従事することとなった日から1年以内に受講
  • 以後は、講習を受けた日以後の最初の4月1日から3年以内ごとに受講

免状を持っていても、危険物の取扱作業に従事していない人は、この講習の対象にならないとされています。詳しくは、お住まいの都道府県の案内で確認してください。

難易度の目安:合格率は約3割

乙種第4類の合格率は、消防試験研究センターの試験実施状況によると次のとおりです。

年度受験者合格者合格率
令和4年度223,009人70,211人31.5%
令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)222,545人71,059人31.9%

2つの年度とも、3人に1人弱が合格している計算です。受験者が年間20万人を超える、大規模な試験でもあります。

また、令和7年度の合格率を種別でみると、乙種第1・2・3・5・6類は6割台、甲種は34.0%、丙種は48.0%です。乙4だけが、乙種のなかで突出して低いのが特徴です。理由は、公式の統計だけでは分かりません。

試験の形式

乙種の試験は、次の3科目・35問、試験時間は2時間です。

科目問題数
危険物に関する法令15問
基礎的な物理学及び基礎的な化学10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法10問

合格基準は、科目ごとの正答率がそれぞれ60%以上です。たとえば法令なら15問中9問、物理・化学なら10問中6問、性質・消火なら10問中6問が目安になります。1科目でも基準に届かなければ不合格になるため、得意科目だけでは合格できません。詳しくは、受験資格・試験概要・合格基準の記事で整理しています。

警備員・防災センター勤務者から見た乙4

防災センター要員の主な仕事は、監視と初期対応です。一方で、建物には非常用発電機の燃料など、第4類の危険物が使われている場合があります。乙4の学習では、こうした油類の性質(引火しやすさ、蒸気の性質、消火の考え方)を、体系的に整理できます。

また、ビルメンテナンスの分野では、乙4を含む資格のセットが紹介されることがあります。ユーキャンの解説では、「危険物取扱者乙種第4類、第三種冷凍機械責任者、二級ボイラー技士、第二種電気工事士」が、いわゆる「ビルメン4点セット」として挙げられています。ただし、これは民間の講座による紹介であり、資格手当や採用への影響は会社ごとに異なります。ここでは断定しません。

まとめ

  • 乙4は、ガソリン・灯油・軽油などの第4類(引火性液体)を扱える乙種の免状
  • 受験資格はなく、誰でも受験できる。試験は35問・2時間・科目別60%以上で合格
  • 合格率は、令和4年度31.5%・令和7年度31.9%と、3割前後
  • 保安監督者になるには、免状に加えて6か月以上の実務経験が必要
  • 取扱いに従事する場合は、保安講習の受講義務がある
  • 試験の詳細は、次の記事で整理しています。受験資格・試験概要・合格基準・免除

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