警察庁が警備業への外国人受け入れ(特定技能・育成就労)の議論をスタート!

警備業界の未来を左右する、重要なニュースが入ってきました。警察庁は、深刻な人手不足が続く警備業で、外国人材(特定技能・育成就労)を受け入れるかどうかの議論を始めました。

2026年9月16日に有識者の検討会の第1回が開かれ、令和10年度(2028年度)からの受け入れを見据えたルール作りが進められています。人手不足の解消への期待が語られる一方で、現場で働く警備員からは、強い危機感や不安の声が上がっています。

この記事の要点

  • 警察庁が「警備業への外国人材の受入れに関する検討会」を開始。報告書は2027年1月の予定
  • 論点は、日本語能力・業務範囲・転籍制限・上乗せ基準・キャリアパスの5つ
  • 現場の懸念は、受け入れそのものより「確認と教育の仕組みが十分か」にある
  • 現時点で受け入れは決まっておらず、報告書の中身が最大の注目点
目次

まず事実を整理:検討会で何が議論されているのか

警察庁の資料によると、検討会の第1回は令和8年9月16日に行われました。検討の問いは「外国人材を受け入れていくことの妥当性についてどのように考えるか」で、「仮に令和10年度からの受入れを見据える」という前提で議論が進んでいます。

いまの警備業で外国人が就労できるのは、日本人の配偶者や永住者など、就労に制限のない在留資格を持つ人が中心です。警察庁の資料では、令和7年末の外国人警備員は7,270人でした。令和7年の警備員数は596,985人なので、全体の約1.2%にあたります。

項目 数字(令和7年)
警備業者数 10,949業者
警備員数 596,985人
外国人の警備員(令和7年末) 7,270人(約1.2%)
警備員のうち女性 約8%
警備員のうち60歳以上 4割以上

警備員の4割以上が60歳以上という数字を見ると、人手不足と高齢化が重なっているのが分かります。

特定技能と育成就労の違い

特定技能(1号) 育成就労
目的 特定の産業分野で、すぐに戦力になる外国人を受け入れる 3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準まで育てる
運用開始 すでに運用されている 令和9年4月1日から

警察庁の資料によると、特定技能の対象分野は19分野あり、警備業はまだ含まれていません。今回の検討会は、警備業を加えるとしたら、どんな条件をつけるかを考える場です。

検討会の5つの論点

論点 内容
① 日本語能力の水準 指示の聞き取りや報告に必要な日本語を、どの水準で求めるか
② 業務区分と従事できる業務 どの警備業務に外国人材を認めるか。育成就労の「主たる技能」を何にするか
③ 転籍の制限期間 育成就労で職場を変える「転籍」を、警備業ではどう制限するか
④ 上乗せ基準 警備業法の欠格条項に当たらないかを確認する措置など、他の分野より厳しい基準
⑤ キャリアパス 入社後の中長期的な道筋をどう描くか

検討会のスケジュール

回 時期 主なテーマ
第1回 令和8年9月(開催済み) 警備業と制度の概要、受け入れの妥当性
第2回 令和8年10月 日本語能力の水準などの各論点
第3回 令和8年11月 論点整理、分野別運用方針、上乗せ基準
第4回 令和8年12月 論点整理、報告書案の骨子
第5回 令和9年1月 報告書の取りまとめ

実は今回が初めてではない:2024年は追加が見送りに

警備業を特定技能に加える話は、以前からありました。業界団体の全国警備業協会は、特定技能への追加を国に求めていました。しかし、令和6年(2024年)3月29日の閣議決定で新しく加わった分野は、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業で、警備業は入りませんでした。

今回は、警察庁自身が有識者の検討会を立ち上げた点が、前回と違います。国が本気で検討に入った、と受け止める人が多いのも自然です。

現場のリアルな本音:採用基準は「警察官並み」に厳しくあるべきではないか

「他人の生命、身体、財産を守る」という警備業の本質を考えれば、警備員の採用や身元確認は、警察官並みに厳格であってもおかしくありません。ところが、現場の実感はそうでもありません。

① 日本人でも、基本ルールの徹底に悩む現場がある

言葉が通じる日本人でも、現場でのトラブルや基本ルールの不徹底に頭を悩ませている指導員や先輩警備員は少なくありません。そこへ制度が変わり、新しい人材が一気に増えたら、教育を担う現場の負担はさらに重くなります。

② 「身元の確認」だけでは、現場で働けるかは分からない

国や警察庁が厳格な身元確認をしても、それは書類上のチェック(犯罪歴の有無など)にとどまります。「身元は確かでも、現場の指示が理解できない」「警備業法や安全への意識が十分に伝わっていない」といった状態で配属されるのではないか、という不安が現場にはあります。

なお、これは外国人を一括りにした話ではありません。国籍にかかわらず、日本語での意思疎通と安全意識を、採用の前と後にどう確かめるかという、制度の作り方の問題です。検討会の論点①(日本語能力)と④(上乗せ基準)は、まさにこの点を議論するものです。

懸念されるシナリオ:業界のイメージ悪化と、日本人の若手のなり手不足

もし、準備が不十分なまま配属されて、トラブルや事故が続けば、世間の警備員を見る目は今よりも厳しくなるかもしれません。その結果、「日本の若い人が、ますます警備業を選ばなくなる」という悪循環が心配されます。

  • 「言葉が通じず、安全が担保されていない現場」と見られる
  • 世間からさらに低く見られる業界になる

ただでさえ進んでいる高齢化と人手不足が、小手先の対応でかえって悪化する恐れもあります。現場が求めているのは、単なる頭数ではなく、「信頼して背中を任せられる仲間」です。

※この項目は、現場の見方をもとにした懸念であり、実際にそうなると決まっているわけではありません。

外国人材の前に、警備ロボットの導入も検討してほしいという声

「人手不足だから外国人材を受け入れよう」という議論が進む一方で、多くの現役警備員が感じている疑問があります。それは、「外国人材を無理に受け入れるくらいなら、警備ロボットやAIの導入・普及にもっと力を入れないのか」というものです。

近年、商業施設やオフィスビルでは、自律走行型の警備ロボットが使われ始めています。現場から見ると、ロボットには次のようなメリットがあります。

  • 言葉の壁やコミュニケーションの行き違いがない
  • 24時間365日、決まった巡回や監視を正確に続けられる
  • 現場の人が「教育・指導」に追われる負担が減る
  • 業界のハイテク化につながり、若い人へのイメージアップになる

もちろん、交通誘導や臨機応変なトラブル対応など、ロボットにはまだ置き換えられない業務がたくさんあります。ただ、機械に任せられる部分(定時巡回、監視カメラのチェックなど)を徹底的に自動化すれば、必要な人数は減り、人手不足はかなり和らぐはずです。

「外国人材を入れて、今のやり方を維持する」のではなく、「ロボットを導入して、経験のある警備員がそれを使いこなす」。これも、国や経営側が検討すべき「もう一つの選択肢」ではないでしょうか。

もちろん、ロボットだけで警備の人手不足を解決できる段階ではありません。外国人材の受け入れと、ロボットなどの導入は、対立するものではなく、組み合わせて考えることが必要です。

報告書に期待すること:現場が納得できる上乗せ基準を

検討会は、2027年1月までに報告書をまとめる予定です。単に人手不足を埋めるための方便にするのではなく、現場の安全と、警備員の誇りを守れる基準が作られるかどうかが注目されます。現場の立場から、特に見ておきたい点は次の3つです。

  • 日本語能力の線引き:指示の聞き取りと報告が確実にできる水準になっているか
  • 従事できる業務の範囲:業務ごとに、受け入れの可否や条件が分けられているか
  • 受け入れ後の教育の仕組み:現場の指導員に丸投げされない体制になっているか

警察庁の資料では、警備業の受け入れ見込数は示されておらず、「どの程度が妥当と考えるか」が問いとして残されています。ここは、報告書で最も注目される数字になりそうです。

スケジュールどおりに進めば、令和10年度(2028年度)に大きな変化が来ます。2027年1月の報告書が、現場の懸念をどこまで受け止めたものになるのか、引き続き見ていきます。

【現役警備員の皆さまへ】あなたの現場ではどう思いますか?

今回の「警備業への外国人材の受け入れ(特定技能・育成就労)」のニュースについて、現場の第一線で働く皆さまはどのように感じましたか。

  • 「本当に人手が足りないから、ルールを整備したうえでなら来てほしい」
  • 「言葉や文化が違うスタッフへの指導まで手が回らない。現場の負担が増えるだけでは…」
  • 「外国人材の前に、警備ロボットやAIの導入に、国が補助金を出してほしい」

皆さまの現場の状況や、本音・危機感を、ぜひ下のコメント欄で教えてください。意見を共有して、これからの警備業界について一緒に考えていきましょう。

最終更新:2026年10月8日

出典

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